大学院に進学して教員免許状を取得することはできる?

「学部で教職課程を履修していないが、教師になりたい」「すでに大学を卒業しているため編入学には抵抗があり、進学するなら大学院に行きたい」「通信制大学で教員免許取得のための単位を修得する自信がない」――最近、当校にはこのようなご相談が多く寄せられます。
大学院への進学を志して、ご自身で大学院に問い合わせてみたところ、「うちの大学院では教員免許状は取得できない」と断られてしまった、というお悩みの声も少なくありません。そこで今回は、大学院進学と教員免許状取得の両立について、現状と具体的な方法を解説していきたいと思います。
なぜ「大学院では教員免許状を取得できない」と言われるのか
結論から申し上げますと、一般的に大学院のカリキュラムのみで教員免許状を取得することはできません。
教員免許状の取得に必要な科目は、主に「学部」で開講されています。そのため、大学院に入学したとしても、免許取得のためには学部の「科目等履修生」となって学部の授業を受け、単位を修得しなければなりません。
さらに高いハードルとなるのが、「教育実習」と「介護等体験」です。これらは免許取得に必須ですが、一般的な大学では、科目等履修生に対してこれらの履修(実施)を認めていません。そのため、これまで教育実習等の経験が全くない方の場合は、事実上「大学学部への編入学」を選択せざるを得ないのが実情でした。
大学院で教員免許状を取得できる「4つのタイプ」
しかし近年では制度が柔軟になり、大学院に在籍しながら学部の単位を修得し、教員免許状を取得できる大学院も増えてきました。これらの大学院は、大きく以下の4つのタイプに分類できます。
(1)専用プログラムあり + 長期履修制度の活用が可能
教員免許状を取得するための専用プログラム等が設置されており、かつ「長期履修制度」が適用される大学院です。
期間:既得単位数にもよりますが、多くは3年で取得可能です(一種免許状であれば2年で取得可能な大学院もあります)。幼・小・中・高・特別支援の全免許状の取得に対応している大学院も存在します。
学費:長期履修制度が適用されるため、3年(または4年)在籍しても、支払う授業料は標準修業年限(2年分)のみとなり、それを分割納入する形になります。
(2)専用プログラムあり + 長期履修制度は活用不可
(1)と同様に専用の取得コース等が設置されていますが、長期履修制度が適用されない大学院です。
期間:こちらも多くは3年での取得となります。
学費:3年間在籍した場合は、3年分の大学院授業料を納入する必要があります。
(3)科目等履修生制度を活用 + 科目履修費等の免除あり
大学院に在籍しながら、併設の学部科目を科目等履修生として履修できる制度を持つ大学院です。
特徴:一般的には認められない「教育実習」や「介護等体験」についても、大学院生であれば履修を認めている大学が多い点が特徴です。
学費:科目等履修に係る費用が免除される大学院もあり、その場合は大学院の授業料を納入することで教員免許状が取得できます。ただし、年間に履修できる単位数に上限が設けられていることが多い点には注意が必要です。
(4)科目等履修生制度を活用 + 科目履修費等が必要
(3)と同様の仕組みで教育実習や介護等体験も可能ですが、履修費用が別途発生する大学院です。
学費:一定単位までは無償で超過分から有償(1単位1万5,000円程度など)となる場合や、全単位が有償となる場合があります。これらを大学院の授業料に上乗せして納入します。こちらも履修単位数に制限があるケースが多く見られます。
状況別・おすすめの進学ルート
これまで修得した単位の状況によって、選ぶべき大学院のタイプは異なります。
教員免許状取得のための単位を全く取得していない場合
専用のカリキュラムが組まれ、学費負担も抑えやすい「(1)のタイプ」の大学院をお勧めします。
すでに教職に関する単位を一部取得している場合
取得済みの単位数によっては「(3)のタイプ」も有力な選択肢となります。(1)のタイプは取得まで3年かかることが一般的ですが、(3)であれば不足単位数次第で2年での取得も可能です(※一種免許状であれば(1)でも2年で取得できる大学院もあります)。
「(4)のタイプ」の大学院に進学する場合の工夫
その大学で科目等履修生になる方法もありますが、他大学の通信教育課程(通信制大学)の科目等履修生を併用するという選択肢もあります。通信制大学は1単位5,000円程度と学費が抑えられる場合があり、何より大学院の授業と時間割が重複する心配がないという大きなメリットがあります。
おわりに
このように、一言で「大学院で教員免許状を取得する」と言っても、その仕組みや条件は様々です。すでにお持ちの免許状の種類や修得済みの単位数によって、ご自身に最もふさわしい大学院や制度は異なります。
教育文化経営学院では、お一人おひとりの状況に合わせた進路選択のサポートを行っております。ご自身のケースについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。