笠原紀久恵、1981『友がいてぼくがある』を読む

定期的に行っている学生さんとの文献講読では、笠原紀久恵さんの『友がいてぼくがある――学びあい、育ちあう40人の学級物語』を読みました。
これは1981年に出版された古い実践記録です。今だったら公刊はできないだろうなあと思いつつ、若い学生さんに「このような実践があったこと」を知ってほしくて、取り上げることにしました。
過酷な現実と向き合う子ども
正夫君の置かれている生活の状況は、とても厳しいものがあります。 母子2人暮らしでしたが、6年生の途中で、お母さんが家を出てしまいます。戻ってきた19歳の姉としばらく2人で暮らしますが、お姉さんも仕事が続かず、生活ができなくなります。
卒業までの何日間かは地域の方の家にともに暮らしながら小学校を卒業しますが、卒業後は施設に入るために引っ越しをするところで、この実践記録は終わります。
北海道苫小牧市の実践で、生活の厳しさが痛切に伝わってきます。はじめは正夫君のお母さんにあたたかく接した地域の方々も、だんだん厳しくなっていきます。
「私にも幸せになる権利はある」
と母親は言って、家を出ていくのです。
孤立する子どもを支える「学級」と「地域」
そのような状況の中でも、笠原学級の子どもたちや保護者、地域の人たちは、正夫君を受け止め、皆で育てていきます。
今だったら、学校や教師はこのように深く家庭の中に入っていくことは難しいのではないかと思います。それでも、孤立した子どもを誰かが支えていかなければなりません。
本作は、そのような取り組みを体当たりでしていった実践の記録だと思います。
教師を目指されている方には、ぜひ一読をお勧めしたい実践記録です。